「遺品整理を始めたら、奥の方から多額の現金が出てきた」――遺品整理の現場では、このようなケースが後を絶ちません。しかし、良かれと思って始めた片付けが、実は法的なトラブルを招く要因になることがあります。

遺品整理は、単なる不用品の処分ではなく、故人の資産を正しく引き継ぐための「相続財産調査」の第一歩です。2025年現在の法的ルールに基づき、整理前に絶対確認すべき重要事項をプロの視点で整理しました。

1. なぜ遺品整理「前」に調査が必要なのか

遺品整理を急いで進めてしまうと、取り返しのつかない不利益を被るリスクがあります。

相続放棄と「単純承認」の注意点

遺産の中に多額の借金がある可能性がある場合、慎重な判断が必要です。財産的価値のあるものを処分・消費した場合、相続を承認したとみなされ（単純承認）、相続放棄ができなくなります。

• 例外となる行為： 財産的価値のない日用品や形見分け、腐敗しやすい生鮮食品の処分、または財産の価値を守るための「保存行為」であれば、必ずしも単純承認にはあたりません。
• リスクの高い行為： 宝石や骨董品、価値のある家電などの勝手な売却、故人の預貯金からの多額の引き出しなどは避けるべきです。

相続税の申告漏れとペナルティ

財産調査が不十分なまま申告を行うと、後の税務調査で厳しい追徴課税が課される可能性があります。

• 過少申告加算税： 過失により申告額が不足していた場合、5〜15%が課されます。ただし、調査前に自主的な修正申告を行えば免除されることがあります。
• 重加算税： 財産を故意に隠匿・偽装したと判断された場合は、35%もの重い税が課されます。

2. 相続財産が隠れている「主な場所」チェック

故人が大切に保管していた資産は、意外な場所に見つかることが多々あります。遺品整理の際は以下の場所を一つずつ確認しましょう。

• 家具の隙間・隠しスペース： 金庫、タンスの二重底、クローゼットの奥に置かれた箱。
• 宗教具の周辺： 仏壇や神棚の引き出し、位牌の裏、仏壇の台座の下。
• 衣類・寝具： 着物の間、背広のポケット、マットレスの下。
• その他： 棚の上の空き箱、本棚の「本に挟まれた現金や証書」。

3. デジタル資産の確認：性質による調査の違い

近年、最も見落としが多いのが「デジタル資産」です。これらは形がないため、調査方法を使い分ける必要があります。

4. 専門家（士業）との連携について

財産調査や相続手続きは非常に専門性が高く、ご遺族だけで完結させるのは困難なケースもあります。

Purchase&Planning（パーチェス＆プランニング）では、遺品整理を通じて発見された重要書類や貴重品の管理を徹底しているほか、必要に応じて提携している経験豊富な税理士・司法書士・行政書士のご紹介も可能です。法的判断が必要な場合は、独断で整理を進めず、まずは専門家のアドバイスを受けることを強くお勧めします。

5. 【無料配布】相続財産調査チェックリスト

整理現場で役立つ、網羅的なチェックリストをPDF形式で用意しました。