相続放棄を検討中の方へ:遺品整理を始めると放棄できなくなるリスクと注意点
- 2025.12.19
そんな切実な悩みに直面していませんか?親切心で行った遺品整理が、実は法律上の「相続を承諾した」という意思表示(単純承認)とみなされ、莫大な借金を一生背負う原因になるかもしれないとしたら……。
2023年(令和5年)4月の民法改正により、相続放棄に関するルールが一部変更されました。改正を知らずに古い情報のまま動いてしまうと、取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。果たして、今のあなたは「安全に」片付けを進める方法を知っていますか?それとも、知らず知らずのうちに放棄の権利を捨てようとしていますか?本記事では、遺品整理のプロが最新の法的視点に基づき、相続放棄予定者が絶対に知っておくべき境界線を解説します。
1. 改正民法で変わった「保存義務」の条件:民法940条の真実
これまでは、相続放棄をした後も「次の相続人が管理を始めるまで」は管理義務が続くとされていました。しかし、2023年の改正により、この義務が生じる条件がより明確に限定されました。あなたは、自分が「義務」を負う立場なのか、正しく判断できていますか?
改正後の民法第940条では、相続放棄をした者が「相続財産を現に占有している場合」に限り、相続財産清算人に引き継ぐまでの間、その財産を保存する義務を負うことになりました。
つまり、故人と別居しており、その家の鍵も持たず物理的に支配していない(占有していない)のであれば、基本的には保存義務は生じないということです。逆に、同居していた場合や、すでに鍵を預かって片付けを始めている場合は「占有」しているとみなされ、責任が生じます。この「現に占有しているかどうか」の線引きは非常にデリケートです。安易に「自分がなんとかしなきゃ」と手を出す前に、自分の立場を確認すべきだとは思いませんか?
2. 「単純承認」とみなされる恐怖のNG行為
相続放棄を考えているなら、最も恐れるべきは「単純承認」です。これは、相続財産を処分したり消費したりすることで、「相続することを認めた」と法律上みなされる状態を指します。一度成立すると、借金を含めすべてを引き継ぐことになり、撤回はできません。
| 行為の例 | 単純承認のリスク | 注意点 |
|---|---|---|
| 家財の売却 | 極めて高い | リサイクルショップへの売却は、金額を問わず「処分行為」とみなされるリスクがあります。 |
| 現金の消費 | 確実 | 故人の財布にあったお金を自分のために使うことは、相続を認めた証拠となります。 |
| 車の抹消手続き | 高い | 廃車や名義変更は、所有者としての権利行使と判断されかねません。 |
| 賃貸解約・全処分 | 極めて高い | 大家さんに頼まれても、独断で部屋を空にするのは「処分」にあたります。 |
「価値のないゴミだから捨てても大丈夫だろう」という自己判断が、数百万円の負債を確定させてしまうかもしれません。あなたは、そのリスクを背負ってまで、今すぐ片付けを行う必要があるでしょうか?
3. 葬儀費用の取り扱いは「自己資金」が最も安全
故人の預貯金から葬儀費用を出してもよいか、という問題。これは実務上、非常に慎重な判断が求められます。過去の裁判例では「身分相応な範囲」であれば単純承認にあたらないとされたケースもありますが、「確実に安全」とは言い切れません。
もし債権者(お金を貸している側)から「財産を使い込んだ」と訴えられた際、裁判所の判断によっては放棄が無効になる恐れがあります。最も安全なのは、相続財産には一切手を付けず、喪主や親族の自己資金で支払うことです。故人のためを思うのであれば、まずご自身の権利(相続放棄の権利)を守ることを優先すべきだと思いませんか?
4. 「形見分け」の曖昧な境界線と対処法
思い出の品を少しだけ持ち帰る「形見分け」。これについても、明確な金額の基準は法律で定められていません。「数千円程度なら許容される」という見解もありますが、あくまでケースバイケースです。
客観的に見て「財産的価値がある」と判断されるもの(高価な時計、貴金属、ブランド品など)を持ち出せば、それはもはや形見分けではなく「財産の隠匿」とみなされます。相続放棄を完遂させたいのであれば、手続きがすべて終わるまで、遺品には一ミリも触れないのがプロの助言です。その一品を持ち帰ることで、多額の負債を背負う覚悟はありますか?
5. 賃貸物件の明け渡しと「相続財産清算人」の現実
大家さんから「早く退去してほしい」と迫られた場合、法的には「相続財産清算人」の選任が必要になることがあります。これは、身寄りのない故人の財産を管理・処分するために家庭裁判所が選ぶ専門家(弁護士など)のことです。
相続財産清算人の選任を申し立てるには、以下の点に注意が必要です。
- 予納金: 裁判所へ数十万円(20万円〜100万円程度)の予納金を納める必要があります。
- 期間: 選任されるまでに数ヶ月かかるのが一般的です。
大家さんに「清算人を立てればいい」と安易に伝えても、費用負担や期間の問題で即解決とはいきません。大家さん自身に申し立てをしてもらうか、あるいは法的なリスクを覚悟で協議するか……。こうした複雑な状況下では、安易な返答は避け、まずは弁護士に相談すべきだとは思いませんか?
まずはプロの「正しいリスク判断」を
「片付けたいけれど、捨ててはいけない……」その葛藤は、私たちPurchase&Planningが受け止めます。2023年改正民法を踏まえ、今何ができるのか、何をすべきでないのかを誠実にアドバイスいたします。無理な勧誘は一切ありません。
大阪全域対応。あなたの未来を守る遺品整理をお約束します。
まとめ:改正法を理解し、慎重な一歩を
相続放棄を成功させるためのポイントを整理しましょう。まず、2023年改正民法により「現に占有しているか」が保存義務の分かれ目となりました。次に、葬儀費用や形見分けには常に「単純承認」とみなされるリスクが付きまといます。そして、賃貸物件の明け渡しには相続財産清算人の選任が必要になることがありますが、それには多額の費用と時間がかかります。
良かれと思った行動が、一生を左右する負債に繋がらないよう、まずは立ち止まってください。専門家への相談を惜しまず、法的なガードを固めることこそが、故人の遺志を尊重しつつご自身の生活を守る唯一の方法です。あなたは、この先の手続きを一人で進める不安と、プロに相談する安心、どちらを選びますか?
相続放棄と遺品整理に関するQ&A

Purchase&Planning 代表
竹内 優貴
この記事の監修
遺品整理士協会認定 遺品整理士
遺品整理士協会認定 遺品査定士
特殊清掃センター認定 特殊清掃士
大阪府警本部 許可 古物商取得
大阪・兵庫を中心に遺品整理・不用品回収を18年行っているPurchase&Planning。業界の良いところ、悪いところ熟知しています。
お見積もりは、どこでも無料ですので、ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
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